神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2007年1月例会


新年最初の例会当日。1月23日の神戸は、風はなくて穏やかでしたが、朝から曇りで気温は上がらず、この冬初めて石油ストーブを点けました。3階の和室はすぐに暖まり、新しい方をお迎えして、珍しいメキシコのお菓子をいただきながら、落ち着いた時間を過ごすことができました。


☆新しい方をお迎えしました。
(Aさん 女性 新規)昨年1度いずみの会にお電話をしていたのですが、その後体調を崩したりしたので今になりました。2004年の春に診察を受けたときは、胆嚢の影は良性だと言われたのに、その後6か月たってから、実は珍しい「胆管細胞がん」であると告げられました。1年間その抗がん剤を続け、昨年の夏に肝臓を半分切除する手術を受けました。術後はとても辛かったのですが、助けられながら抗がん剤を続けつつここまで来ることができ、今は順調です。辛い時期には、自分のことだけで精一杯でしたが、今は、「人の役に立つことを生きがいにしたい。そのためにはどう生きていけばいいだろう」と、考え始めています。そのための「初めの一歩」を踏み出すために、まずはいろいろな話を聞いて道を探してみたいという気持ちで、今日、ここに来ました。病気をするまでの私は、体力にも自信があり、傲慢に生きて来ましたから、当初は本当にショックでした。でも病気をしてから、一人では生きていけないことを知り、何げないことにも幸せを感じ、感謝するようになりました。服用しているカプセルは、「ジェムザール」という、すい臓用の抗がん剤ですから、私の場合は保険適応外となり医療費は大変です。でも、副作用がまったくないのが救いで、病気による自覚症状や痛みもないので、闘病という意識はありません。
(Bさん 女性)私も前田さんと同じで、最初は「レントゲンに写っていないから大丈夫」と言われました。半年か1年後に、もう1度医者に行っていたらよかったと、つくづく思います。3年目に行ったら、もう悪化していましたから。ネットで、私と同じ口腔がんの経験を公表しておられる人がいるのですが(サウダージ http://www1.kcn.ne.jp/~ozaki3/index.html)、その方は、細胞の検査で分かったそうですけれど。どうして「1年後も来なさい」と言ってくれなかったのかと思います。当時はパソコンもないから、今のように情報が入りませんでした。結局手術のあとに、人口の骨を入れる予定だったけれど出来ず、おなかの脂肪と腹筋を移植しました。その後遺症で、未だにモノが食べられないから、明るい気持ちになれないのです。
(Aさん)私の場合は痛みがないから今はいいですが、やっぱり少しでも痛かったり不調だったりすると、そうは思えませんね。少し天気がわるいと、しょぼんと落ち込んだりしてね。
(Cさん 女性)私は、20年以上前に病気をして、その後、20年近くボランティアをしました。それがとてもよかったと思います。人の役に立ちたいというお気持ちは大事にされたらいいと思いますよ。→(Aさん)正直、最初に「良性」だと言われたときに、無駄に時間を過ごしてしまったことだけは、悔やまれます。でもそれ以降のことは、幸運だったと心から思っています。テレビなどでは、まるで「がんの人は潔く正しく死んでいかないといけない」かのように報道されることがよくありますが、私にはできません。私の主治医は、小さなクリニックの先生なのですが、最初の診察の時に「長生きすることが同じ病気の人の平均寿命を延ばす」とおっしゃって、その言葉に、同席してくれた娘と私は涙し、「この先生にお願いしたい」と思いました。先生は、ご自身のお母さんを、胆管細胞がん亡くされていたそうで、そのことが、この道に進むきっかけになったのだと、話して下さいました。先生とお話していると、治療というよりは、カウンセリングしてもらっているようなのです。



☆息子さんご一家がメキシコにおられるというDさんが持ってきて下さいました。「オブレア」という名前のお菓子だそうです。「カヘタ」という、ミルクキャラメルのスプレッドを、ウェーハスで挟んだものです。Dさんいわく、「とにかく、メキシコのお菓子は甘さが半端じゃなくて、さらに着色料も派手です。このお菓子は比較的日本人好みだったので、ご賞味いただきました。でもやっぱり、お菓子は日本のものが一番ですよ。」とのことです。珍しいものを、ありがとうございました!



☆ メンバーのSさんからご連絡いただきました。最近、短期間ご入院なさったそうで「わずか12日間の入院生活でしたが、重病人を受け入れる大学病院だけに様々な重荷を背負われた人たちが多く、逆に励まされたりわが身のしあわせを感じたりの日々でした。」とのことです。その間の心境を詠まれた短歌のご紹介をお許し下さいました。繊細な心の動きが表現されていて、共感なさる方も多いのではないでしょうか。
入りきてまた退きゆきて病室の空気は絶えず移り変わりぬ
不治なるに笑み絶やさずに居る人よ病衣のままに転院しゆく
術前の説明聞くに怖ろしき手元震えて承諾書かく
冗談であれよと祈り術前の万一の可能性を医師淡々と説く
数日の付き合いなれど病む人はながき苦悩をわれに語りぬ<



※今月のお花..プリムラ・ポリアンササクラソウ科) 花色が豊富で、鉢物や花壇の花として人気が高い。ただ夏の高温と乾燥に弱く、栽培には注意が必要。