神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2008年8月例会

2008年8月26日は、場所を変えて真夏の勉強会を行いました。内容は、昨年の「サイモントン療法入門」第二弾。神戸アドベンチスト病院の城谷昌彦先生を講師にお迎えし、17名が垂水駅前レバンテの会議室に集まりました。ワークやエクササイズを交えながらサイモントン療法の概要を分かりやすくご説明いただき、最後にはヒーリングプログラムによる瞑想を体験しました。ワークを通して、参加者同士の会話も弾み、有意義な時間となりました。
講師 城谷昌彦先生より自己紹介
こんにちは。私は内科医をして13年になります。今は父の診療所を手伝いながら、神戸アドベンチスト病院のホスピスに勤めています。サイモントン療法について今日はどこまでお伝えできるか分かりませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
「私とサイモントン療法」
 私は医学生時代に、潰瘍性大腸炎という慢性の腸の疾患を発症しました。医者になってからも、良くなったり悪くなったりで、入退院を繰り返しました。そのうちに、西洋医学というアプローチだけでいいのか、そもそも病とは何か、苦悩とは、人間とは・・・などと考えるようになりました。そんな時にサイモントン療法を知り、これだ、と思ったのです。西洋医学はもちろん大切ですが、病気だけに焦点を当てるのではなく、背景を包括的に診る医療が必要だと感じ、改めて自分の病の意味を知りました。

はじめに
 カールサイモントンは、米国の放射線科の医者で、1970年頃この療法を考案しました。同じ治療をしても治る人、悪くなる人がいることに疑問を抱き、心理士である奥さんと共に「感情が健康に大きな影響を与える」という点に着眼したのです。これは、がん患者さんのみならず、家族や、医療従事者などのサポーターにとっても重要な心理療法ではないかと思います。

「がん(病)は恵み」
 この言葉には誰もが驚くのではないでしょうか。苦しみを与えるものが、どうして恵みなのでしょうか。「がんは思いやりのあるメッセンジャーである」と捉え、自分らしい生き方に戻そうとするメッセージを伝えている、つまり「この道はあなたの進むべき道ではないと示されている」と考えるのです。

「自分自身の本性に還る」
 これが最初のトピックです。どうやったらいいのでしょう。まず押さえておいてほしいのは、「元気」という文字の如く、気を元に戻すことが元気。つまり私たちは生まれながらにして健康であるということです。逆に、「病気があるから健康ではない」ということではなく、病気を抱えつつも充実して生き、スピリチュアル(霊的)に健康だということも有り得ると考えるのです。西洋医学のように病気というレッテルを貼らず、見方を変えて、本質的に健康な状態を取り戻すというのが、サイモントン療法なのです。

「人生の目的は『幸福を体験する』こと」
 サイモントン療法では幸福を体験することが、人間の根源的で純粋な欲求、つまり本性に近づくことだと考えます。そしてイメージの力が重要視されています。そこで、「喜びリスト」にまずは取り組んでみて下さい。この作業は、本性を取り戻すのに大切です。喜びを体験するのは、気を高める最も良い方法です。不運ばかりに目をやるのではなく、恵まれていることを再確認することこそが大切なのです。

「イメージの絵 エクササイズ」
 人は誰でもイメージの達人です。
1)がんは治療し得る病気であることを 
2)自分が望む結果を 
3)自分が分かりやすい方法で   イメージすることを留意しつつ、「自分自身」「がん」「自己治癒力」「治癒」という、それぞれのイメージを盛り込んだ絵を描いてみて下さい。

「信頼感をはぐくむ。(内なる叡智とのかかわり)」
 人は物理的に証明できるものに目を奪われがちです。でも目に見えないものの働きがあることを知っていてください。その内なる叡智とは、宇宙の意思、無意識、潜在意識、超意識、虫の知らせ、ひらめき、意味のある偶然、守護霊、守護神、シンクロニシティー(共時性)などとも呼ばれています。

「健全信念の例」
冷静に叡智の体験をふりかえると、たくさんの場面で有形無形の助けを得ています。それは必ずしも肯定的な形ではありません。意識してアンテナを張って生活してみて下さい。各自いろいろな経験があるはずです。

「サポートとコミュニケーション」
 患者さんをサポートする立場である、家族や医療関係者について考えます。
• 「要求を明確にすること」「自分の要求をリクエストすること」・・・しかし命令になってはいけません。サポーターの要求が拒否されても、それを許容できるように間口を広げておくことが大事です。
• 「コミュニケーションを大事にする」・・・患者の希望を勝手に推測せず、また批判的にならず、時間を決めて行い、お互いの要求を知ることが大切です。
• 「希望を抱きながら執着を手放す姿勢」・・・難しいですが、執着を手放すことは、決してあきらめではないのです。
• 「サポーターを増やす」・・・質の高いサポーターをどんどん巻き込みます。
• 「遊ぶことを忘れない」これは、特に重要視しています。日本人はわが身を削りがちですが、その考え方では続きません。自分の喜びに取り組んでエネルギーを高めることが大事だと意識しましょう。自分自身の叡智に従い、迷ったら叡智に尋ねることです。

まとめ
☆ 人間は生まれつき健康な存在。病はメッセンジャー
☆ 何が悪いかではなく、何が良いかという発想。イメージを効果的に活用
☆ 真の癒しには『気づき』が重要。それにはまず病気の意味を考えること。

※ 今月のお花...つゆくさ(露草 ツユクサ科) 庭や道端で普通に見られる雑草。朝露に濡れる可憐な青い花は古くから歌にも読まれてきた。古名はツキクサ。ホタルクサ、カマツカなどの方言がある。