神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2009年8月例会

今年も、8月の例会は会場をレバンテ垂水の会議室に移して、勉強会をしました。もう秋の空気を感じるさわやかな晴天となった25日、心理カウンセラーの中村ともみさん、上西直美さんをお迎えし、楽しい実習を通して、それぞれが自分の無意識の行動に気付いて見つめなおし、それを今後の糧にしていくという心理学の考え方を学びました。


日常を楽しむ心理学  ・・・・自分の中の無意識を知ること・・・・

<講師 自己紹介>
中村ともみさん
こんにちは。心理カウンセラーの中村ともみです。私は、「神戸メンタルサービス」という、カウンセリングや、カウンセラーの養成、150人くらいの規模のワークショップを運営する会社で、講座の講師などをしています。今日はカウンセリングの考え方を身近に感じていただけたらと思っています。
上西直美さん
私も中村さんと同じ会社の後輩です。私は、以前は薬剤師として企業に勤めていましたが、その中でモノを扱うことに限界を感じ、心の方に興味を感じて、この仕事に就きました。

<お話と実習>
◆偶然をきっかけにして・・・不思議なカード
 今日は、ここにカードを用意しました。チャックスペザーノさんというイタリア系アメリカ人の博士が作ったもので、何百と言う種類がある中から、抜粋して48枚持ってきています。(参考「セルフ・セラピー・カード」著者:チャック スペザーノ 出版社:ヴォイス)結構楽しいので、今からみなさんに、一枚ずつ引いていただき、それぞれ解説します。

これは、偶然性を利用して、その時の自分を見るという一種の心理学です。48枚の中のどれをひくかは分りません。例えそれが暗いカードであっても、暗いから悪いということではなく、受け止め方やものの見方を変えると癒しが起こるという考えが基本になっています。

◆偶然をきっかけに・・・バギーを組んで
今日は、たまたま座る席を選んでいただきました。これは偶然のようでありながらも、その人の無意識のパターンを表しているとも言えます。人生の中で意識をしている行動は3パーセント。97パーセントは無意識だと言われています。つまり、お隣の人も、無意識に選んでいるわけです。今この時間は、無意識に選ばれた人とバギーを組んで進めていきます。
自己紹介・・・まずは自己紹介をしてみてください。普段からよくご存知の方も、そうでない方も。
相手を褒める・・・次に、お互い褒め合ってください。何を褒めたかをしっかり覚えておいて下さい。
不思議な自己紹介・・・では、相手を褒めた言葉を簡潔に整理して下さい。そしてその「相手を褒めた言葉」を使って再度自己紹介をして下さい。全然自分に当てはまらなくても、それで結構です。
さて、いかがでしたか? 先ほど、ほとんどの行動や言動が無意識であると言いました。そこに、投影の法則があるのです。同じものを見ても、そこに投影されているものは人それぞれ違います。例えば同じチョコレートを見ても、「おいしそう」と思う人と、「血糖値が・・・」と思う人がいて。それぞれの人の心がチョコレートに投影されているわけです。つまり相手を評価する時も、褒めるポイントというのは、うらやましさがあると同時に、自分が意識していることなのです。例えば私が彼女のことを「スタイルがいいですね」と褒める。それは、私が自分にない部分をうらやんでいるから。その言葉を使って「スタイルのいい中村です」と自己紹介してみると、けっこう自分が傷つくかもしれません。しかし逆に彼女は、私の気付かないところ、むしろ欠点だと思えるところを褒めてくれていたりする。自分の価値とは裏腹かもしれません。つまり自分が感じていることと人が感じることには差があるのです。人を褒めるのは簡単ですが、褒めた言葉をそのまま自分に適応するのはしんどいこと。それくらい自分たちは自分のことを認めていないことが多いのです。
相手はどんな生き物?・・・最後に、相手を生き物に例えてみて下さい。
自分が言われてどうでしたか?うれしかったですか?何か違う?でもまわりの人たちは納得していませんか?特に、がん患者さんには真面目な性格の人が多いと言われていますが、人に与えたものが返って来る時、「私は与えていませんから」と受け取らなかったり、辞退してしまって、相手を悲しませてしまうことがあります。人に与えたり、人を褒めたりはするのに、自分がそうされると拒んでしまう...自分のことを認めていない、ということはありませんか。
次に、相手について自分が言ったことはどうでしょうか。では考え方を逆転して、先ほどの褒め言葉のように、自分に当てはめてみて下さい。自分には当てはまらないと思いますか? けれどもそれが実は自分の投影なのです。こういうことを意識し、生活の中に織り込んでいくと、やさしい時間や、人の優しさや、自分自身を見る目が優しくなっていくと思います。実習を通して、それを実感していただけたら幸いです。

※ 今月のお花...セージ(シソ科サルビア属) とても丈夫なヘルシーハーブ。別名ヤクヨウサルビア。日本へは1890年(明治23)に渡来。テイー、料理、美容健康、染料などに利用される。