神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2010年2月例会

testizumi2010-02-23

2月23日は、朝からまるで4月のように暖かい、春の日差しに恵まれました。9名が集いました。

<高出昌洋さんの奥さまがおいで下さいました>
ご心配おかけしました。どうもありがとうございました。あっという間でしたが、いろいろと残していったものがあり、その片付けに毎日終始しているという感じです。普段あまり口数が多くなかったので、整理しつつ、いろいろな原稿などを読んで、今頃になって、主人がやってきたことが分かってきたような気がしています。今日は、30年前の原稿ですが、いずみの会や、自分のことについて書いているものがあったので、コピーしてきました。どうぞ読んで下さい。最後まであきらめずがんばってきましたので、どんなにか無念だったでしょうけれど、残された者は一日一日を大事にしていかなくてはと思っています。

・・・・・河野先生は「がん患者の家族に力づけてあげる会が日本にはない。同病相励ます会をつくらねばならぬ。病気は医者四、患者六で治すものだ。癒やす力が本人にある。死の恐怖はなくならないが、それと闘おう。こころからほがらかに生きていくことを学ぼう」と説き、がん患者のセフルケアの会を作ろうと呼びかけた。そして私に「事務局をやってくれないか」としきりに持ちかけた。がん告知を受けていない私は、「なぜ私が」と抵抗していた。それは私の中のがんとの闘いでもあった。事務局を引き受けること、それは自分ががんであることを認めること、がんから逃げ出さないことであった。こうして河野先生は巧妙に私ががんであることを、時間をかけて知らせたのであった。・・・・
(こころの科学 35 特別企画=死を生きる 河野博臣/編 1991年日本評論社 「がんを告知された人たち 高出昌洋」 より抜粋)

<そのほか、話し合いなど・・>
・ (Aさん 女性)私の通院や、検査をする主人の病院に付き添ったりなどで、しばらくお休みしました。幸い主人の検査は問題ありませんでした。私の方は相変わらず、口腔がんの手術の後遺症で、言葉がはっきりせず、食べにくいです。やはり一生のことなのでしょうね。年中先生には、不調ばかり訴えて、聞くほうも大変だと思うのですが...。前向きに行こうと思います。
・ (Bさん 男性)以前にも笑いの効用について話題になりましたが、笑いというのは、結局腹式呼吸なのです。呼吸法というのが、免疫力を高める作用があるそうです。一度笑うことで、人間の中のがん細胞が100個死ぬと聞きました。人間の体には、60兆個の細胞があり、誰でもその中に3000個くらいはがん細胞を持っていて、それが5000個以上になったらがんが発病するという研究があります。笑いと反対に、ストレスががんを活性化させるのだそうです。また、再生医療の研究についても、興味があります。1他にも、脳内ホルモンの研究や、がんウイルスの研究など、いくつかの動向を注目しています。
・ (Cさん 女性)先日の検診で、数値は悪くないと言われて安心したのですが、でも首に触ってみると、どうもあたらしいしこりを感じるのです。それで数日後、しこりの部分をマジックで丸く印して、見てもらったところ、「大きくはなっているが、治療するほどではないです」とのこと。私、先生に恵まれなくて。最初の先生は異動され、次の先生は辞められて。その後研修医の先生に変わり、やっと話せるようになった頃にまた異動。たわいもない話ならできますが、やっぱりなかなか大切なことを話せるようになるには時間がかかります。若い先生は待ち時間が少ないのはよいのですけれど。いつも、必ず尋ねたいことを一つは準備していいきます。そんなこんなでちょっと落ち込んでいたのですが、昨日は平成22年2月22日。ぞろめの日だったでしょう。2時22分の切符を買う人がいるというニュースを見て、なんだか昔はそんなこともあったな..なんて。そんな些細なことで、気持ちがふと明るくなるんです。今年の5月の二人展が、近付いてきました。トアロードのギャラリーで、友人の写真と、私のビーズ刺繍を展示します。元町に行く度にギャラリーに寄って、他の人の展示を参考に見るのを楽しみにしています。高出先生の木版画展を見せていただいたのがきっかけです。恥ずかしいけれど、長年の証を見ていただきたいです。
・ (Dさん 男性)肺がんの後、3度目の再発があり、余命1年と言われたのですが、それから今でちょうど1年になります。最近の検査でまた転移が見つかりまして。今まで私は、治療はしないという方針でここまで来たのですが、「決断の時が来ているのでは?来月もう一度検査をして決めましょう」と先生に言われました。方向としては「大腸がんで使われている抗がん剤が肺がんに使えるようになったので、試してみましょう」というもの。しかし、まだ実証例が非常に少ないのです。いろいろと迷いもあり、精神的に強くなるために、明日から遍路に出ようかと思っています。四国の遍路は、51番まで行きました。すべて1人で、交通手段は使わず全部徒歩です。12月に行った時は、1時間くらい山の中で道に迷い、怖かったですよ。頭が真っ白になり、何か幻覚みたいなものが見えて..「修行だな、今の私のために与えられているのだな」って思いましたね。9キロのリュックを背負い、一日、平均して30キロ歩きます。
・ (Eさん 女性)私も夫と2人で行きました。懐かしいです。よかったですよ。国民宿舎とかに泊まってね。私たちは車でしたが、助手席の私が地図を見る係りで、一睡もせず運転手のように集中していました。お遍路の後で病気が分かり治療して治ったので、お礼参りにと、西国三十三箇所も主人と行きました。
・ (Fさん 女性)この間、肺がんの手術をして2年目の検査があり、異常ありませんでした。東京に単身赴任している夫の元に行って、「おかげさまで2年間無事に過ごせました」と言ってきました。戻ってくると、疲れちゃいました。往復する体力も戻ってきたので、今年は東京へも時々行きたいと思っています。
・ (Dさん)抗がん剤って、最初から効く確率は何パーセントとか、分かっているでしょう。予めそういう情報が頭に焼き付いてしまっているんです。「やるんだったら、100パーセント効くと思わなくちゃ、効くものも効かない」と家族に言われたのですが、そういうものでしょうか。→(下荒神先生)確かに、難しいですね。例えば58パーセント とか言われても、自分にとっては 効くか効かないか2つに1つでしょう。確かに信じていなければ効果にも影響するでしょうけれど...。(Dさん)そうなんです。気弱になってはいけないなとは思うのですが...。私の先生は、「勉強して下さい」と言われ、お尋ねしても「分かりません」という答えが多いです。それが正直なところなのでしょうけれどね。ついつい、一対一になって会話していると、言葉の端端にまで神経がいき、考えてしまうのです。→(下荒神先生)「勉強して下さい」と、あえておっしゃるということは、医者の方が、Dさんを理解できる人だと評価されているようですね。信頼関係が出来ているのだと思いますよ。