神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2019年1月例会

新年初めの例会は、穏やかな日になりました。毎回大変な体験を武勇伝のごとく明るく語って下さっていたTさんが、年明け早々に突然ご逝去されたという連絡があり、大変悲しいスタートになりました。今回は検査やご体の不調など欠席が多く、集まったのは四名だけでしたが、重い話も笑いを交えて語り合える、大変密度の濃い一時間半となり、いつもとは一味違う満たされた充実感が残りました。

 

近況報告です
・(Aさん 女性)では私がトップバッターで近況報告します。お正月は誘われて、香川県に本場の讃岐うどんを食べに行ってきました。お店の外の寒い中で、1時間半は待ちましたが、その甲斐あって蕎麦もだしも美味しかったですよ。それからもう一つ。私、観劇が好きなんですけれど、小泉八雲の作品の朗読ライブに行ってきました。俳優の佐野史郎さんと、ギタリストの山本恭司さんのコラボです。先月、Cさんがおっしゃっていた、小泉八雲のひ孫・小泉凡さんのレクチャーもありました。すごくよかったですよ。値打ちあったと思います。

変化する悲しみについて
・(Aさん女性)主人がなくなって1年経ち、また悲しみの形が変わった気がします。直後の悲しみと、半年後の悲しみと、1年後の悲しみ..という変化。今は、外堀を埋めるように外観から元気に保つようにしていますが、内面が変わっていないというか。自分が二人いるんです。一人はしゃがみこんで悲しんでいる自分。もう一人は積極的で元気でやさしい自分。元気な子が、いつも振り向いて、しゃがみこんでいる子の手を引いて連れて行ってくれるイメージです。こんなイメージが生まれたのは、半年以降ですね。直後の悲しみの状態では、とにかく底を突き抜けた底なしの真っ暗なイメージしかありませんでした。そこから、自分でいろいろ努力するうちに変化してきたんです。こ

の先、また悲しみの形はかわるのでしょうか。
・(Bさん 女性)私は夫を見送って10年です。自分自身が歳を重ねて、残りの人生が少ないのを感じるから、今を大事にしようとする気持ちが強く、自分が心豊かに暮らせるのは主人のおかげ...という感謝しかありません。悲しみが感謝に変化していくこともあるんですよ。そんな風に思えるのは、自分が今健康だからかもしれないけれど。振り返ると悩みや困難は本当にたくさんあって、苦しいことの方が多かったかもしれない。でも苦しみがあったからこそ、今が幸せだと思えるし、わかってくる喜びもあるんです。だからあなたも苦しいことが、今後きっとよろこびにつながっていきますよ。あなたも、私の年齢になったら分かるかもしれません。
・(Aさん)今、人生90年時代っていうでしょう。元気でいることに気をつけないといけないなって思います。→(Bさん)でも、ご高齢でご病気の治療をしながらも、やりがいのあることを続けて、心は病んでいない人もいるんです。「健康」にとらわれ過ぎることがない姿がいいなぁと思います。私は、それぞれの人にその人のもつ良さをもらいたいと思っています。だから、いろんな人に接することを大切にしています。→(Dさん)Aさんの悲しみが深すぎたとき、人のお話を受け付けられない感じでしたけれど、でも今は違いますね。→(Cさん)そうそう。悲しすぎたら聞こえないし受け入れられない。私は夫を亡くして5年目でしょう。お二人のちょうど中間地点だからどちらのお気持ちもよく分かるんです。私はね、なんか意味がほしいんです。仕方ないとか、悲しいとか、マイナスだけじゃなくて。キャンサーギフトって言いますが。行動的になれたり、人に出会えたり、知らなかったことを発見したり、自然の美しさを感じたり。そう自覚してみて、今の幸せに気付かせてくれたのだなぁって思います。とはいっても、今でもいつも悲しみは心の底にあるんです。それが浮かんでくることもあります。→(Bさん)生きるってそういうことやと思うわ。偉そうに言ってごめん! だれも、今の状態はかえられないから。生きるも死ぬも自分には分からないこと。そこが人の命の不思議なところ。→(Cさん)私も、長生きとか健康ばかりに固執するのもどうかと思う。なんかむなしい気もする。人生の質が大切でしょう。そう考えると、Aさんのご主人は濃い人生を生きた人なのだろうと思います。→(Aさん)はい。急ぎ足でしたが、中身の濃い人だったと思います。→(Bさん)私の父は、私が幼稚園の頃に亡くなったんです。だから父の記憶はないんですけれど。でも母が「お父さんはあなたのことを天国から見てるよ」と言っていたから、いつも守られている思いがありました。あなたのご主人も、いつもあなたが思い続けることで、あなたの中でずーっと生きてはると思いますよ。