神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2006年7月例会

今年は長い梅雨で連日の雨。ところが、25日は朝から久々に太陽が。皆が集まった頃に一雨ありましたが、誰もぬれることなく、雨上がりには涼しい風が入りました。今月も新しい方1名、久し振りの方1名がおいでになりました。

  • 初めての方が来られました。

(Aさん 男性 新規)初めまして。最近出展した鉛筆画を持参しました。作品を作る時に何を描くか考え、やはり自分の状況を描かざるを得ないと思い、表現しました。一昨年の夏に、全く突然弟が亡くなり、追うように母を亡くしました。そして昨年の5月に、妻のがん告知を受けたのです。相次ぐショックに僕自身が非常に動揺して、足元から崩されていくような気持ちを、一気に描き上げました。完成した時に、不思議に「あ、それほど怖くないんだ」という気持ちになり「自分の抱える恐怖の気持ちをそのまま出してしまえば、逆に怖くない、このまま進んで行っても決して落ちないんだ」と、実感できたのです。絵によって表現するということが、ぼくにとって大事なことなのだと思います。これがなければ、妻と共倒れしてしまうかもしれません。→(Bさん 女性)私は、今日この絵を見せていただいて、泣けて泣けて仕方なくって。私には、今の自分の心境を絵にしてもらっているように思えるのです。こうやって表現できるって、いいですね。うちの夫にも、自分を表現するすべがあればいいのにと、思います。→(Aさん)私の女房も、この絵を見ると、泣いていました。だから普段は見えないところに置いています。→(Cさん 女性)奥様の心を和ますような絵を描かれるおつもりはないんですか?→(Aさん)これは、飾るために描いたものではなく、自分の内面の表現なんです。自分に向かい合うためです。

  • 久し振りですね。

(Gさん 女性)御無沙汰しています。皆さんのお話をお聞きしていると、それぞれお連れ合いがいらして、支える、支えられる、という関係があるのですね。私の場合は相棒がいないので、常に1人で悩み、耐えなくてはならない状況でした。そういう中で大きな不安を抱えながら、我ながらよく頑張って来られたと思います。皆さんをうらやましいと思う反面、逆に相棒がいたならば、自力で踏ん張る力が失われて、ここまで乗り切れなかったかもしれないという気持ちもあります。私は術後6年経ち、最近ようやく元々の主治医の先生から、「もう、卒業していいよ」という言葉をいただきました。でも毎回お会いする度に、「あなたは本当に再発リスクが高い状態だったのですよ」と釘を刺されています。そんな私にとって、やはり1つには「旅行」が良かったのではないかと思います。とにかく私が一番に夢中になれることは「旅行」ですから、無謀かもしれませんが術後数か月のうちから、「私にとって旅行費は治療費」だと割り切ってどんどん出掛けました。私は同じ狭い空間で苦しみ泳ぐのでなく、思い切ってすとーんと抜け出て、言わば「どこで命を落としてもいい」というくらいの気持ちで旅に出て、自分を賭けてみるのも、必要ではないかと思うのです。私の信じるところは、自己免疫力ですから、精神性を高めたりするところに、重きを置きたいです。でも私だって本当に怖がりなんですよ。1人だと、何かと落ち込むでしょう。だから誰かに遊びに来てもらったり、遊びに行ったりして、人を求めているんですよね。とにかく、自分の中で「まだ、見ていないところ、行っていないところはたくさんある。だから死にたくない」という気持ちが強いんです。無理しても生きたいですね。

  • 最近考えていること

(Gさん)最近、「がん新法」が成立しましたよね。私はとても興味があります。→(Cさん)そういう情報も、もしも私が病気をしていなかったら、テレビでやっていても、きっと素通りしていると思います。私も、緩和ケアのあり方、心のケアのあり方には、興味があります。緩和ケアは、最終の手段ではなく、がんと診断された時から、心のケアとして始めるべきだと思います。→(Dさん)それは私も思います。日本はすごく遅れているでしょう。こういうところに参加するのもね。病院では事実を突き付けられるだけでしょう。→(Gさん)最近は、がんでも治る人が増えましたものね。

※ 舟橋英次さん(Aさん)のホームページ「迷宮の世界」アドレスです。是非ご覧下さい。
http://www.pat.hi-ho.ne.jp/funya/eiji2/

今月の花...ナスタチウムノウゼンハレン科) 和名金蓮花中南米原産の1・2年草。野菜・ハーブとしても知られ、花・葉はサラダに、実は薬用として食用。高温多湿を嫌う。