神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2007年8月例会

毎年8月には目先の変えてプログラムを考えていますが、今年は垂水駅前レバンテの会議室にて、城谷ひとみさんのお話しによる、「サイモントン療法」の小さな勉強会を開きました。28日は残暑厳しい中にも関わらず、新しい方を含めて多くの方がお越しになり、活気ある会となりました。

まずは、新しい方を中心に自己紹介から。
(Aさん 女性 新規)今日は娘と京都から来ました。今年の4月に、子宮頸がんとの診断を受け、手術はせず、放射線抗がん剤の動注を行なっています。昨日、ペット検査を受け、2週間後に検査の結果がでる予定です。全て今年に入ってからのことなので、まだ体力が戻っていません。
(Bさん 女性)なかなか来られなくて、久し振りになりました。胃がんの手術をして、3年になります。3か月ごとに検査を受けていますが、今のところ問題ありません。食べる量は少なくなりましたが、太らないのでこれもいいかと思いつつ、元気にしています。
(Cさん 女性 新規)私は、16年まえに、自ら触診で米粒大のしこりを見つけ、それが乳がんだと分かり、左胸を切除しました。放射線は使わず、4年ほど抗がん剤だけを続けました。現在は、白血球が少なくて、2週間に1度点滴を受けています。
(Dさん 男性)今日でいずみの会に来るのは3回目です。現在私は、川西市の第二協立病院のホスピスに入院しています。私は7年前に、悪性黒色腫という非常に珍しいがんを患いました。放射線治療により完治したと言われていましたが、今年の1月に再発が見付かり、余命半年との告知を受けました。骨、リンパにも転移しているため手術も抗がん剤も免疫療法もできないからとホスピスを紹介されましたが、そこで先生も不思議とおっしゃるほど食事がとれ、もうすでに3か月近く余命が伸びています。今月初めの検査では、非常に危険な状態、あと1か月持つかどうかと言われました。ご覧のように、今日は汗びっしょりになりながら、這う思いでここまで参りました。でも私はやっぱり負けたくない気持ちがあります。院長である松岡先生はいつも、「人間の精神と肉体は一つ」だとおっしゃいます。今日はしっかりと学び帰り、得たことを他の患者さんにも広めようと思っています。
(Eさん 女性)平成10年に子宮がんの手術を受けて、その後順調だったのですが、今年の3月の検査で乳がんが見付かりました。前のがんとは関連性はないそうです。4月に手術を受けたあと、放射線治療もして、今は異常なしと言われています。
(Fさん 男性)大腸がんの妻のことをご報告します。腸閉塞をおこし、7月に胃から直接排泄するチューブをつける手術を受けた後、1度高熱が出て、7月末に危篤状態となりました。その時は持ち直しましたが、8月12日の午後から急にまた発熱し、熱が引けば持ち直すだろうと思って見守る中、だんだん呼吸も乱れてきて、翌日の0時40分に息を引き取りました。ここ最近、自分を見つめなおすと、体の中に穴が空いたような喪失感を感じます。今まで無意識のうちにそれを埋めようと努力していたのですが、昨日ふと、埋めるよりも、穴をしっかりと見つめた方が落ち着くのかもしれないと気付きました。
(Gさん 女性 新規)私は膠原病を患っていて、他にもいくつか病気があり、現在は週に2〜3回、血液透析を受けています。ご覧いただいたように、少し歩きが不自由なのは、手や足に潰瘍があって、治療中だからです。育てている子どもとの接し方をどうするべきか、私自身の闘病と子育ての両立などについて考えていて、このような会を紹介していただきました。
(Hさん 女性)久し振りに来ました。再発が分かった時には厳しいことを言われましたが、もうそれから1年半になり、毎日前向きに自助療法に取り組んでいます。最近少し治る手ごたえを感じており、毎日の努力が幸いしているのかなあと思っています。心の持ち方が一番難しいですが、勉強しつつ徐々に行こうとがんばっています。

・・・・・サイモントン療法について〜(抜粋) 臨床心理士 城谷ひとみ さん・・・


 こんにちは。城谷です。いずみの会には、心理学の大学にいる時から参加しています。サイモントン療法についてはまだ勉強中なのですが、今日は役立つエッセンスの部分だけを簡単にご紹介します。サイモントン療法は、次のような理由から興味を持ちました。
1)いつからでも、一人ででもできること。
2)副作用がないこと。
3)安価でできること。(講習には費用がかかりますが、本を利用すれば簡単にできます。)
4)病気があってもなくても、よりよく生活することができること。なぜならば、基本的に「人間が生を受けた目的は、幸せになること」とし、それを追求していくから。
5)個人の持つ宗教、哲学などは尊重され、それがより効果的になるように考えること。
 きっと、いずみの会の皆さんにも役立つことと思います。

<サイモントン療法とは>
O.カール.サイモントン博士は、元々放射線科の医師。その立場でがん治療に携わるうちに、なぜ同じ病状でも人によって余命が違うのかを疑問に感じるようになり、患者の精神状態、心理状態のあり方について興味を持つようになった。「私たちは基本的に健康な生き物である」を命題に、「元気になる」つまり「気が元の状態に戻す」ことを目標にしたプログラムの開発に30年以上取り組んでいる。(写真は、サイモントンジャパンHPより)

<サイモントン療法のカウンセリング理念>
まずは、QOLを高める。そして病気の進行に違いを作り、伸びた余命の質を高める。また、死は誰にとっても確実に訪れるものなのだから、死を意識し死の質を高めることで、より生を充実させる。
<サイモントン療法のカウンセリング十か条より抜粋>
 患者にとって「何が悪いか」ではなく「何が良いか」に目を向ける。罪悪感、敗北感などのストレスを効果的に解消する。がんになったことの意味を見つけ出す手伝いをする。周囲の人々への関係について、アドバイスする。哲学的、宗教的、精神的な面をサポートする。など。
<サイモントン療法の概略(抜粋)>
• 「がんは恵みである――メッセンジャーである」という考え方。つまり自分らしい生き方に戻そうとするメッセージを贈るものだと考える。例えば、病気になる以前、何らかのストレスや無理を感じていた人は少なくない。病気によって、「この道はあなたの進むべき道ではない」と示されているのだと考える。
健全な死生観を育むために、死の段階を3つに分けて考える。まず1つ目は、現在から死をむかえるまで。死は自らコントロールできないことが恐怖心につながる。しかし、私たちは、死に対して影響を与えることができると考える。仏教の言葉、「あなたが望むような死を迎えたいならそのように生きなさい」のように、平安に死にたいなら、平安に生きることを考えるということ2つ目は、死の瞬間について。チベットの「死者の書」では、お坊さんがその時に精神を導いて行くが、そのようなイメージを持つこと。最後に、死後の世界について。人それぞれ考え方は色々だが、サイモントン療法では、死後も魂は生きると考える。最も大切なのは、死を受容しつつ、健康の希望をもって生きること。
• 自分が信じるものに取り組むことの大切さ。常にアンテナを張ることが重要。
• 患者をサポートする人について...患者のサポーターとなる人は、患者とのコミュニケーションの中で、次のことに気をつけること。自分の要求を命令ではなく、希望として伝えること、必ず相手の要求を尋ねること、批判的なコミュニケーションをしない...など。また、希望と執着をはっきりと区別し、「○○せねばならない」という執着の気持ちを、「○○したい」という希望の気持ちに変換できるように、常に気を配る。また、困ったら、周囲に助けを求めることも大切。
〜では実際に、簡単なワークをやってみましょう。〜

✽ よろこびの ワーク...最低3つ、想像するだけでもうれしくなることを考えて書き出してみましょう。
✽ イメージの絵...好きな色を使って、自分自身のイメージ・がんのイメージ・自己治癒力のイメージ・治療のイメージ を含む絵を描いてみましょう。

サイモントン療法について詳しく知りたい方へ
NPO法人サイモントンジャパン HP・・・http://www.simontonjapan.com/HomeFrame.htm
関連書籍..「がん治療への道」「がんのセルフコントロール」(創元社)  「がんのイメージコントロール法」(同文館出版)
関連CD..サイモントン・リラックスシリーズ メディテーションCD 1〜5 (NPOサイモントンジャパン)



※今月の花...ゲンノショウコ(現の証拠 フウロソウ科) 日本全土の山野で見られる多年草。下痢止めの妙薬として古くから利用されてきた。名前の由来は「現によく効く証拠」。