神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2008年4月例会


4月22日は、春らしい日になりました。人数は6人と少なめでしたが、珍しく男性の中に紅一点という顔ぶれ。新しい方もお迎えし、内容の濃い話し合いとなりました。

・ (Aさん 男性新規)吹田市から来ました。この会のことは、ネットで知り、前から一度来たいと思っていました。2年近く前に、肺がんの手術をしました。私は全然喫煙しないし、むしろ高血圧や心房細動があって循環器の病気を心配していたので、すごく意外でした。手術の後にしばらく抗がん剤して、その後今のところ問題はありません。私は西洋医学だけではなく、視野を広く持つようにしています。「患者よ、がんと闘うな:著者 近藤 誠」(文春文庫)によると、がんは、ステージに関わらず、悲観的になることが良くないとのことです。また、阿保徹先生の本にも影響を受けました。ですから、あちこちの会に顔を出して、生きがい療法的なものを大切にしています。さらに東洋医学の方も若干取り入れていて、呼吸法・腹式呼吸には興味があります。あとは、温熱療法ですね。私は薬剤師で、現役の頃から生薬や薬草に関わっていて、漢方薬の効能も知っています。だから中国医療のドクターにも時々診ていただいています。人間それぞれ寿命というのがありますから、頑張り過ぎるよりも、後は楽しく、自分の意識を変えることが、がんに勝つ方法だろうと思っています。
・(Bさん 男性)私は潰瘍性大腸炎という病気を長年患っていて、なんとかだましだまし過ごしていましたが、とうとう決心して、大腸をすべて切除しました。私自身が消化器内科の医師なので、外科的処置に踏み切ることに正直言って心の葛藤がありましたが、今回は素直に決断することができ、そう心の整理ができた時点で、既に手術前から癒された気がしたほどです。お陰さまでこの10年間の中で最もと言って良いほどの状態を取り戻すことができました。今回の様々な体験により、治療者として自覚を持ち、「治療的自我の確立」と言いますか、内的な体験により、レベルアップできたと思っています。患者としての体験を通して、医者としての、新たなスタート地点に立った気がしています。最近は大きな力に導かれているのだと感じることが多いです。病気した頃は、被害者意識が大きく、「医者のくせに自己管理もできない」と悩み、ちょうど10年前に、ここの河野博臣先生に「医者をやめたい」とご相談しました。その時、「その経験こそ将来役に立つから、なんとかやってみて」と言っていただき、それが今でも残っているのです。当時、河野先生は、サイコオンコロジーという学問に力を入れておられたのですが、私にはぴんと来ませんでした。でも今、病気を抱えながら思い悩み、たどり着きつつあるのが、そのサイコオンコロジー「精神腫瘍学」です。がん患者さんの心理面に関する学問です。それを獲得させてくれたのが、「サイモントン療法」です。これは一種の心理療法認知行動療法です。悲観的になっている人を、希望へと導いて行くのです。「希望にこそ治療の効果がある」というサイモントン先生の考えにとても惹かれています。今、神戸でのサイモントン療法の講習会を計画し、実行しつつあります。

・(Cさん 男性)先月初めて参加しました。おかげさまで今は大丈夫です。浜松までセカンドオピニオンに会いに行き、大阪の病院を紹介してもらい、そこに2週間抗がん剤治療開始のために入院していました。治療を始めて、食欲不振などはありましたが、副作用やアレルギーはなかったので、続けてみます。これからどうなるか、ちょっと不安は不安ですが。私の場合は再発なので状況は厳しいのですが、それを意識しながらも、今までどおり仕事も続けています。一時期は精神的にすごく辛かったのですが、本を読んだり、ネットを調べたり、こういう場で話をすることで、大分落ち着きました。今は仕事できることが幸せで、スタッフからも「えらい元気やね」って言われています。ただ、私はドクターに恵まれていないなあと思います。今回4人部屋に入院していたのですが、4人とも担当ドクターが違って、その4人のドクターがそれぞれひっきりなしに何も言わずに入って来ては、用件を済ませると出て行くのです。看護師は必ず「失礼します」と言って入ってくるのに。「愛想を振りまけ」とは言いませんが、気になりました。忙しいドクターに精神面のフォローを望むのは無理なのでしょうけれど、やっぱりドクターの言葉が患者には一番響きますし、配慮がほしいです。
(Dさん 男性)昨年10月初めてこの会に来ました。身内を2人がんで亡くした時に、どうすることもできないのかと、ジレンマを感じていました。それ以降、いろいろな文献を調べたり本を読んだりして、いくつか効果があると思われる療法などを見つけました。これらを組み合わせることで、がんの消滅を目指すことはできないか...そのための患者会を考えています。個人個人の代謝機能、生命機能を生かす考え方や栄養学、遠赤外線ラバーやシートの使用。そういったものを有効に組み合わせることで確実な効果をねらいます。まずは1か月、3か月と試していただいて、確実に効果があったら、費用を負担していただくというようなシステムを考えています。そして、患者会というスタイルをとることによって、サバイバーの方々からの精神的なサポートにより、心理面もフォローしたいのです。そのために、試す前と後の病気の状態についての、医者による確実な診断が不可欠なのです。それから、栄養士も必要です。「健彩公房―がんを考える会−」という名前で、いよいよ活動を始めます。
・(事務局長 高出さん)「兵庫県がん患者会団体等連絡会」の活動について毎回報告していますが、現在、「がん診療連携拠点病院」について話し合っています。何かご意見ありませんか?→(Cさん)私の場合、特別なホスピスなどに行かなくても、普通の病院に、緩和ケアの機能がほしいと思います。

※今月のお花...ボタン(ボタン科) 原産地は中国。古くに薬用として伝わった。 「たてば芍薬、座れば牡丹」と言われ、花には気品がある。