神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2008年11月例会


11月25日は、小春日和の一日となりました。今月もお医者さま2名もご一緒に、いろいろな話をしました。


・(Aさん 男性)今治療中の抗がん剤の効果を知るためのCT検査の結果、変化がないとのこと。先生いわく「薬は効いている」そうですが、私としては効いているならば小さくなって欲しいところです。また、手術の可能性を聞いたら、「検討してみます」との返事で、それがどういう意味なのか...完治の可能性を高めるため、手術は希望しているのですけれど。最近は、抗がん剤で食欲が減退し、調子が狂って便秘になって、せっかく治っていた痔の方が再発して、すごく苦しくて、一週間くらいかなり辛かったです。あとは、手足の痺れがひどくなったこと。それから脱毛が気になっています。最初は大丈夫だったのに、突然3,4日前から抜け出して。男前が台無しです!自分で言うのもなんですが、ぼく、何でも似合う男ですけれど、帽子と海水パンツだけはダメなんです!
・(Bさん 女性)便のことですが。私は13年前に内痔核なって手術して以来、便をためないように、注射器を使ってグリセリン浣腸をする自己管理方法を教えてもらい、必ず食べた分だけ出るようにコントロールできるようになりました。少しコツは必要なのですが、下剤よりもよくて、快適です。髪の毛の話も出ましたが、私も2回目抗がん剤で完全に抜けました。2回目は先に切ってしまい、今5か月経ってここまで延びました。一度抜けると、前よりも毛の質がよくなるんですよ。1度経験しているから、また生える確信があったので、かえって期待したほどでした!
・(Cさん 女性)私は肺がんの手術のあと、4,5回抗がん剤をしましたが、食事も問題なく、脱毛もなかったので、入院中は他の患者さんからうらやましがられました。今は痛いところもないですし、検査も一段落して異常なく、年末年始はゆっくりできそうです。去年は1月4日に入院しましたから。
・(Dさん 女性)9月後半くらいから体調を崩して咳が出だし、「風邪かな...」と思いつつ様子を見ていました。しんどい日もあれば、楽な日もあって、大げさに病院に行くほどでもなさそうだし...と思いつつ、迷いながらも、仕事や用事に追われて、忙しくしていて長引いて。で、とうとう、友だちと会っているときにすごくしんどくなって、「これはぜったい明日病院行こう!」って決心して行ったら、案の定「風邪をこじらせてますね」って言われてしまいました。お薬を処方してもらったら、ぴたりと楽になって...。やっぱり早めに受診しなくちゃいけないなあって、反省しました。/髪の毛のことは、私も2回経験しました。2回目はうっとうしいから、私も先に切りましたね。未練を感じて残していても、気持ちよく抜けないで、妙な残り方するんですよ。ふちの方だけヒョロヒョロ..みたいな。いい髪の毛が生えてきましたよ!
・(Eさん 男性)久し振りに来ました。元気にしています。ちょうど先月の例会の頃は、東北へ温泉旅行に行っていました。「奇跡の湯」として有名な秋田県の八幡平の玉川温泉にも行きました。雨がザーザー降って寒かったのですが、がん患者らしき人たちがたくさんおられて、何か複雑な気持ちになりました。/最近、「文芸春秋の8月号」の「立花隆氏と戸田洋二氏の対談」を読みました。物理学者の戸田氏は、末期がんでこの対談のすぐ後に亡くなっているのですが、対談の中で、「正岡子規の、『悟りというのはいかに死ぬか ではなく、いかに生きることだと気付いた』という言葉聞いて楽になった」という話があり、すごい言葉だなあと感心しました。また、「お見舞いに来てくれる人から『残された人生を大事に生きて下さい』と言われるのがつらい。今までどおりに生きて下さいと言われた方がいい」という話も印象的でした。亡くなった女房も同じことを言っていたからです。
・(Gさん 女性)一週間ほど前に、娘の夫が悪性リンパ種の疑いがあると言われて。6月の健康診断では大丈夫だったのに。今はそのことがショックで寝られないんです。子育ての真っ最中でしょう。本人は気を強く持っていますけれど、できれば私が代わってあげたいくらいです。今は検査のスケジュールでいっぱいです。→(Hさん 男性)義理の姉も同じ病気になりましたが、もう5年経ち、今は元気にしていますよ。→(Dさん)私も同じ病気だけれど、やっぱり詳しい検査を受けて、治療の方針がはっきりと決まれば、近所の病院でもすることは一緒だから、大丈夫でしたよ。病院が近ければ通うのも楽でしょうね。→(Bさん)私も同じ病気で、治療の間は入院させてもらいましたが、通院でもできると言われましたよ。
・(Iさん 女性)私の病気の方は、もう忘れてしまったような状態なのですが、昨日こんなことがあったんです。夫が自分のことを「年老いたがん患者や」って言うので、私は思わず「あんたは、がん患者じゃないでしょう。がんをしたのは私。そんなことを言ったら、本当のがんで闘病している人に失礼にあたるよ。」って言ってしまったのです。ところがその言葉が夫を傷つけてしまって...。夫に、「私は20何年前に、あんたががんをしてから、同じ気持ちで支えて寄り添ってきた。それなのに、そんなに突き放されたようなことを言われるとは思わなかった」と悲しそうに言われて、今度は私の方が言葉を失ってしまって。本当に夫は私のためをいつも考え、一緒になって生きてきてくれたのです。とにかく「ごめんね」と心から言うしかありませんでした。そんなことがあって、家族の支えについて、改めて考えました。
・(Jさん 女性)Iさんのお話し、本当にいいですね。私も夫と二人ですが、言いたい放題で。私の方は、先月検査に行って、口腔がんの手術の痕が腫れているのが気になってしょうがないのですけれど、異常は特にないとのことで。やはり様子を見ようといわれています。ストレスが多いので、髪の毛がたくさん抜ける気がして、気になっています。

(K先生)正直、この会に来るのは、辛いです。私の心療内科の診察に来る患者さんは、言わば「死にたい人」が多いのです。薬を大量に飲んだり、手首を切ったり。でもいずみの会に集まる人たちは、「生きたい人」でしょう。「生きたい人」がいる一方で「死にたい人」がぞくぞく居る...実にむごいと思います。私自身は、仕事のストレスから欝になった経験があるので「死にたい人」の気持ちもよく分かるのです。この正反対の2つ世界を自分の中で両立させることが、とても厳しいというのが本音です。
(L先生)医者の不養生で、風邪をひいてしまいました。私自身、手術をして、1年になります。あの頃、「新しい命をもらった」と確信していたのですが...情けないことですが、日常に戻って日が経つと、その新鮮な気持ちを忘れてしまいます。何にでも感謝できていたはずなのに、いろいろと不満が出てきて。そうこうしているうちに、どうも再発したような兆候があって。「あの時生まれ変わって治ったはずだったのに」と愕然としてしまいました。そんな時に、家内と口論する中で、一言ガツンとカウンターパンチを食らったんです。効きました! 「あ、やっぱり逃げている部分があったんだ」ってその時気付いたんです。心の持ち方は自分次第、感情の安定がいかに大事かと思い知った翌日から、不思議にぴたっと症状が止まりました。私はがんでないですが、がんでも、奇跡的に治ることって、あると思います。結局はどの病気も、根本的なメカニズムは同じで、深いところの自己治癒力を高めること、患者さん自信の気付きが大事なのだと思います。
(Dさん)両先生とも、お辛い経験されているからこそ、それぞれが患者に本当に寄り添える、素晴らしい先生なのだと思います。本当に大変だと思いますが、期待しています。がんばってください。


※今月のお花...ブーゲンビレアオシロイバナ科) 原産地は南米。暖かいところでは地植えで大きく育つが、 冬0度以下になるところでは室内に取り込む必要がある。花色はいろいろ。