神戸いずみの会 公式ブログ

「神戸いずみの会」は、1982年から続く患者会です。

2009年1月例会


今年最初の例会、27日火曜日は、数日ぶりに雲が晴れて、明るい日になりました。空気は冷たいけれど、日向は暖かく、いつもの和室も暖房がいらなくなるほどでした。まずは、はじめて来られた、整形外科のお医者さんから語っていただきました。
・ (Aさん 女性)去年の6月に、乳がんの手術を受けました。その後、標準治療といわれている抗がん剤などの治療を続け、終わったところです。私は元々最前線の医者として働いていたわけではなく、子育てでお休みをもらいつつ、開業している主人のお手伝いという形で、一歩引いた立場で医療に携わってきました。例えば、「大きな病院で言われたことが分からなかったので教えてほしい」というような患者さんの窓口として、気持ちに寄り沿ってきたつもりだったのです。ところがいざ自分が患者になってみると、じっくり約1時間半もかけて病状説明していただいたのに、その時の心理状態では、半分も理解できなかったのです。抗がん剤の副作用にしても、冷静に分かって対処しているはずなのに、やっぱり脱毛にショックを受け、1年近くも辛い思いをして...実際にどういう気持ちになるかは、体験しないと分からないということを、身に染みて感じました。今、このような経験を生かして、医者と患者さんの間の橋渡しが出来ないかと考えています。医者も患者も、治したい、治りたいという目標は同じはず。それなのに行き違いがあったり、信頼感を失うと敵対関係になったりするのを見ると、残念でなりません。そのために今日はここにお邪魔しました。これからよろしくお願いいたします。
・(Bさん 女性)平成13年、直腸がんの手術をした頃に参加して、その後ご無沙汰していました。私自身は、7、8年たち問題なく元気にしているのですが、実はこの度、主人が私と同じがんになりまして。夫は86歳で、一昨年に直腸がんの手術をし、昨年夏頃に肺への転移が分かりました。けれどもその時点で、既に4個できていて、「なぜここまで分からなかったのか」と、ショックを受けました。今、治験の抗がん剤治療を受けています。「高齢者の進行再発大腸がんを対象とした療法」なのだそうで、はっきりと「完治ではなく、延命」だと聞きました。延命のために、こんなに苦しい思いをするのはどうかという迷いがあります。今一番心配なのは、このままお任せしておいて、違う薬が有効な状態になった場合、それを教えて下さるのだろうか? ということです。止めたければいつでも言えばいい、それで不利になることはないと、当初から言われてはいるのですが。→(城谷DR)治験とは、基本的には、その薬だけの効果を調べることが目的です。ですから、患者さんの治療か、治験の目的か、どちらを優先させるかは、ドクターによると思います。患者側から、不安な点をはっきり聞くのは問題ないですし、むしろ勇気を出して、言うべきだと思います。が、いくら不利でないと言われても、いざとなれば言いにくいのも、事実でしょう。正直なところ、治験で調べているほどなのですから、医者側も迷っているのだと思います。→(Aさん)大きな病院は特に、理不尽なサイクルの中で追われて仕事をすることが多いから、いい医者を見つけるのは難しいと思います。大病院で最先端の医療をお願いしつつ、自分の気持ちや疑問点を相談できるような先生もいる、というのが理想的でしょうね。
・(Dさん 男性)前月初めて来ました。昨年胃がんが見付かり、抗がん剤治療をしながら手術を待っていると言いましたが、その抗がん剤について、最近はすごく疑問を感じています。一時的な延命効果しかなく、結局は抗がん剤で命を落とす人がとても多い。抗がん剤の最も大きな欠点は、免疫力が下ること。日本のがん患者の死亡率が高くなっているのは、治療方法が3つだけ、「手術、放射線抗がん剤」に固まってしまっていることだと思います。私は食事療法をとても重要視しているのですが、主治医にその話をしたら、全く話が噛みあわなくなり、結局今は行かなくなり、抗がん剤治療もやめました。もちろん、がんには個人差があるので、本当に難しいです。とにかく、延命するにせよ、クォリティーがあってこそだと思うのに、そういう自分の考えを理解してくれる医者を見つけるのが非常に難しい。日本の医療制度のあり方、製薬会社との関係なども、深く関わっているようです。
・(Eさん 男性)Dさんのおっしゃるとおり、私も、抗がん剤はいらないものだと思っています。大切なのは、免疫力をつけることです。その基本は、食事です。岡山のすばるクリニックの伊丹仁朗先生は、笑いや生きがいを持つことにより、免疫力を高めるのが大切だと言っておられます。今の日本の医療制度のゆがみから、製薬会社が儲けたり、政治家が献金を受けたり...。そこが大きな間違いです。がんは、細菌ではありません。健康な細胞が突然がん化するのです。健康な人でも、約60兆個ある細胞のうちで、1日約5000個の細胞が、がん化しているそうです。それが、キラー細胞によって抑えられているから健康なのです。笑いの効用は、要するに呼吸です。だから呼吸も大事です。禅の世界でも、吸う呼吸をとても大事にしています。
・(Fさん 女性)以前から、口腔がんの術後の不具合から、再手術をするか悩んでいる話をしていましたが...。他の病院に移られた、以前信頼していた女医さんが、また戻られました。そしてご相談したら、やっぱり「手術はしない方がいいだろう」と言っていただき、すっきりしました。腫れて食べにくいのは相変わらずですが、とにかく楽しむべきことを楽しんでいこうと思っています。
・(Gさん 女性)先月、6か月ぶりにCTを撮りましたが、新しく1センチくらいの転移が見付かりました。でも、濾胞(ろほう)性リンパ腫で、進行が遅いので、治療せずに様子を見ましょうと言われています。味覚障害については、放射線の先生から「味の感覚が戻るのを待つのではなく、自分から美味しいものを見て『美味しい 美味しい、と思う』という、反対のリハビリをしてみたらどうでしょう」と言われ、なるほど、と思いました。が、なかなかそこまでいかないのですけれどね。
(Hさん 女性)今日は、抗がん剤を否定する意見もたくさん出ていましたが..私は血液のがんだったので、手術ができなかったでしょう。でも、たくさんの種類の抗がん剤と移植で助かりました。自己免疫どころか、4期で全体に広がっていると言われ、落ち込んで、投げやりで、笑うことすらできませんでした。治療の度に、同意書とか書かされますが、もう言われるがまま、書きまくり、捺印しまくり...。「辛い 辛い」って弱音ばかり言いまくっていました。その頃看護師さんに「元気でも崩れていく人もいれば、もうダメと思う人が元気になることもあるし。当てにならへんよ」と慰めてもらったとおり「がんは百人百様」だと思います。今年ようやく8年を迎えました。

※ 今月のお花..寒あやめ(寒咲菖蒲 アヤメ科) 2月、水仙の咲く頃淡紫色の可憐な花を咲かせる。葉が長く伸びて冬の雪から花を守る。草丈は20〜30センチほど。